ジャンクラボ

主に電子機器の分解・電子工作

テスターの分解清掃・修理

約40年前のテスター(三和電気計器製U-70D)を入手したのですが、しばらく使用されていなかったようなので分解清掃をしたところ、いくつか故障が見つかったので修理も行いました。

 

U-70Dの詳細

発売:1976年

表示:アナログ

測定レンジ:直流電圧

     交流電圧

     抵抗

     直流電流

測定範囲:直流電圧 0~1000V

     交流電圧 0~1000V

     抵抗 0~5MΩ

     直流電流 50µA~500mA

清掃・修理前↓

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背面のシールには

「1KV以上の高圧測定はテレビその他の弱電測定に用います。又1KV未満でも強電測定には危険防止のためヒューズ付テストリードを併用下さい。」

と書かれています↓


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裏のネジを一本外せば裏ぶたが開くので開けたところ、電池が液漏れを起こしていました↓f:id:Cerarock:20200527142327j:image

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裏ぶたも汚れていたのでまずは裏ぶたから掃除します。

before↓
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after↓
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次に液漏れした電池を取り出すのですが、電池に繋がっている配線も腐食していたので電池とその端子や配線も一緒に取り出しました。


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よくあるバネ式の電池ボックスではなくネジ止め式の電池ボックスだったので、電池を単3から単4に変更して単4のバネ式電池ボックスを単3電池が入っていた場所へ入れることにしました。

なお、このテスターで電池が使われるのは消費電流が少ない抵抗測定だけなので内部抵抗が高い単4電池でも問題ありません。

まず電池があった場所を掃除し↓


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そこへ単4電池ボックスを入れて配線します↓


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念のため全体をチェックしていると、焼けた抵抗器が見つかりました↓


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カラーコードが読みずらくなっていたのでテスターで測ったところ、4.14kΩだったので、E系列の中から最も近い抵抗値を探すと、E96系列の4.12kΩがありました。

しかし、4.12kΩのカラーコードは第3数字まであり、黄茶赤橙茶という表示のはずなので、焼損によって抵抗値が変化したものと思われます。

よって、カラーコードを読む以外に方法が無く、カラーコードが熱で変色しているので第2数字と乗数は信頼できないのですが、かろうじて残っているカラーコードが茶黒黒茶に見えるので10Ωの抵抗器と交換します。

元の抵抗器が1/2W抵抗器より大きく、1W抵抗器であると思われるので、手持ちの10Ω 1/2W抵抗器を直列に繋いだものを2組作り、それを並列に接続して10Ω 1W抵抗器にします↓


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元の場所へ配線します↓
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電池を入れて↓


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動作確認をしたところ、正常に機能したので、

デジタルテスターが使えない(交流が重畳した直流電圧や高周波、値の変化が激しい等)測定に使用したいと思います。

清掃・修理後↓


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今回のように、電池を長期間機器に入れたままにしておいたり、異なる銘柄の電池を混用していると過放電によって電池内部でガスが発生し、そのガスが一定の圧力に達すると液漏れを起こすので、同じ銘柄の電池を使用したり、長期間使わない機器などは電池を取り出しておくべきです。

ちなみに、アルカリ電池は電解液に強アルカリ液(水酸化カリウム水溶液)が使われており、マンガン電池が液漏れした場合より金属を腐食させるので、液漏れによる被害を低減させるのならばマンガン電池を使用した方がいいでしょう。

このテスターは40年前にしては状態が良かったため、昔の古い部品を良い状態で見ることができて勉強になりました。

動画:https://youtu.be/rUylEVxIm3M