ジャンクの回転速度計を分解してみた
テスターの分解清掃・修理
約40年前のテスター(三和電気計器製U-70D)を入手したのですが、しばらく使用されていなかったようなので分解清掃をしたところ、いくつか故障が見つかったので修理も行いました。
U-70Dの詳細
発売:1976年
表示:アナログ
測定レンジ:直流電圧
交流電圧
抵抗
直流電流
測定範囲:直流電圧 0~1000V
交流電圧 0~1000V
抵抗 0~5MΩ
直流電流 50µA~500mA
清掃・修理前↓
背面のシールには
「1KV以上の高圧測定はテレビその他の弱電測定に用います。又1KV未満でも強電測定には危険防止のためヒューズ付テストリードを併用下さい。」
と書かれています↓
裏のネジを一本外せば裏ぶたが開くので開けたところ、電池が液漏れを起こしていました↓
裏ぶたも汚れていたのでまずは裏ぶたから掃除します。
before↓
after↓
次に液漏れした電池を取り出すのですが、電池に繋がっている配線も腐食していたので電池とその端子や配線も一緒に取り出しました。
よくあるバネ式の電池ボックスではなくネジ止め式の電池ボックスだったので、電池を単3から単4に変更して単4のバネ式電池ボックスを単3電池が入っていた場所へ入れることにしました。
なお、このテスターで電池が使われるのは消費電流が少ない抵抗測定だけなので内部抵抗が高い単4電池でも問題ありません。
まず電池があった場所を掃除し↓
そこへ単4電池ボックスを入れて配線します↓
念のため全体をチェックしていると、焼けた抵抗器が見つかりました↓
カラーコードが読みずらくなっていたのでテスターで測ったところ、4.14kΩだったので、E系列の中から最も近い抵抗値を探すと、E96系列の4.12kΩがありました。
しかし、4.12kΩのカラーコードは第3数字まであり、黄茶赤橙茶という表示のはずなので、焼損によって抵抗値が変化したものと思われます。
よって、カラーコードを読む以外に方法が無く、カラーコードが熱で変色しているので第2数字と乗数は信頼できないのですが、かろうじて残っているカラーコードが茶黒黒茶に見えるので10Ωの抵抗器と交換します。
元の抵抗器が1/2W抵抗器より大きく、1W抵抗器であると思われるので、手持ちの10Ω 1/2W抵抗器を直列に繋いだものを2組作り、それを並列に接続して10Ω 1W抵抗器にします↓
元の場所へ配線します↓
電池を入れて↓
動作確認をしたところ、正常に機能したので、
デジタルテスターが使えない(交流が重畳した直流電圧や高周波、値の変化が激しい等)測定に使用したいと思います。
清掃・修理後↓
今回のように、電池を長期間機器に入れたままにしておいたり、異なる銘柄の電池を混用していると過放電によって電池内部でガスが発生し、そのガスが一定の圧力に達すると液漏れを起こすので、同じ銘柄の電池を使用したり、長期間使わない機器などは電池を取り出しておくべきです。
ちなみに、アルカリ電池は電解液に強アルカリ液(水酸化カリウム水溶液)が使われており、マンガン電池が液漏れした場合より金属を腐食させるので、液漏れによる被害を低減させるのならばマンガン電池を使用した方がいいでしょう。
このテスターは40年前にしては状態が良かったため、昔の古い部品を良い状態で見ることができて勉強になりました。
ジョイコンのスティックに設計上の問題は無いのか分析する
前回ジョイコンのスティックを交換しましたが、スティックは壊れやすく任天堂の設計を批判する人もいるようなので、その原因と設計上問題があるか究明します。
前回の記事:https://5junklabo.hatenablog.jp/entry/2020/05/22/173708
まず、壊れたスティックを分解します。
分解前のスティック↓
下側↓
上側↓
下側は金属製の外装とフレキシブル基板に分離できました↓
フレキシブル基板の上の銀色の部分は押すとクリック感があったのでおそらくスティックのボタンです。また、以下の写真で基板上の黒い部分は抵抗体でした↓
裏側↓
スティック上側の動作は動画を見てもらえば分かると思いますが、ジョイコンの表面に飛び出している部分を左右に動かすと白いプラスチック部品と金属端子が一体化した部品が左右に動きます。
動かしている動画:https://youtu.be/5GeJ1FAWQaM
これらの構造から、
①スティックを操作すると金属端子が動く
②その金属端子の位置によって抵抗体の抵抗値が変化する
③スティックを押すと基板上のスイッチが押されて導通する
④それらをコントローラ側が認識する
というのがスティックの動作原理であるため、暴走の原因は抵抗体と金属端子の接触不良であると考えられます。
接触不良の要因としては、金属端子の変形(ばね圧の低下)や抵抗体の磨耗等があり、これを防ぐためには
①金属端子と抵抗体の接触面積を大きくする
②金属端子を変形しにくい材料で作る
③金属端子を太くする
④抵抗体を磨耗に強いものにする
等の対策がありますが、①②③は操作が重くなるので現実的な対策としては④ということになります。
任天堂がどんな抵抗体を使用しているのか分からないので④の対策を任天堂が取る余地があるのか分かりませんが、いくら抵抗体を磨耗に強いものにしても金属端子のばね圧が低下すれば動作不良になります。
また、変形を防ぐために枝分かれさせるべきでない金属端子が接触部分で枝別れしている理由ですが、2点で接触するとガリオームが起こる確率を下げられるためであると思われます↓
ですから、任天堂の設計に問題があるというよりジョイコンに組み込めるほど小型で長寿命のスティックを製造することは技術的に困難なのではないかと思います。
Switchのジョイコンを修理
Nintendo Switchの左のジョイコンのスティックが暴走していたので修理しました。
修理するジョイコン↓
裏側のネジ4本を外せば分解できるのですが、ネジが特殊(Y字)なのでY字ドライバーが必要です。
開けたところ↓
バッテリーは3.7V525mAhのリチウムイオン電池でした。
バッテリーを取ると下にネジが4本あるのでそのうち右上と左下の2本だけ外します。
バッテリーの下↓
するとバッテリーが入っていたプラスチック部品が外れるので外します。
スティックを固定しているネジ2本を外したいのですが、ネジの上をフレキシブルケーブルが通っているのでまずはフレキシブルケーブルを外します。
これでネジを外せるようになったので、ネジとスティックから出ているフレキシブルケーブルを外します。
あとは新しいスティックを付けて逆の手順で組み立てていけば修理完了です。
動画Ver:https://youtu.be/NynAiTMtBEA
どうやらジョイコンのスティックは頻繁に壊れるようなので次の記事ではその原因と任天堂の設計に問題がないのかを究明します。
次の記事:https://5junklabo.hatenablog.jp/entry/2020/05/23/123728
電源装置の分解清掃
こちらが今回分解清掃する電源装置↓
第一電波工業製のGSV500という無線機器用電源装置で、スペックは以下の通りです。
外形寸法:W160×H92×D165mm(突起物を除く) 重量:3kg
入力電圧:AC100V 出力電圧:DC13.8V(固定)
出力電圧変動率:2%以下 (定格時) 出力電流:5A 連続(1日8時間×3日間耐久試験)、6A 断続(1分ON/1分OFF)
過電流保護回路動作:6.3A リップル電圧:10mV以下 (定格時)
冷却方式:自然空冷 / ヒューズ:2A / 電圧電流計:電圧電流切替式
しばらく使用してなかったので分解清掃します。
カバーを外したところ↓
トランス式のようです。
トランスはヨークがついてません。
片面基板ですべてラジアルリード部品です。
見たところ部品の破損もなかったので内部の清掃と簡易校正をして終わりました。
動画にもしました↓